Column

2023.09.17 Sun

COVERS 2003(2)オリジナルリリースについて

COVERS 2003 のオリジナルリリースである3枚の7インチシングルは、2003年の9月から11月にかけて、Small Circle of Friends のレーベルである basque から発売されました。魅力的な二人組である Small Circle of Friends は、当時僕がサポートしていた Hicksville やその周辺のバンド・ミュージシャンと一緒に「Holiday」というイベントを行っていて、都内だけでなく大阪にもツアーしました。心斎橋(!!)のクラブクアトロでイベントを行って、確か僕はライブの他にも開場時にオルガンによるBGM演奏をしたと思います。当然ながら今でも活発にライブやリリースを行っている彼らの活動にも、ぜひご注目ください。

この7インチシリーズを出した頃は、クラブミュージックというくくりでDJやトラックメイカーから提示される音楽が「新しい」ものとしてバンドシーンにも力を与える、という’90年代からの流れが、それまでに比べても一層拡がった頃だったと思います。しかしながら、COVERS 2003 に収録された=当時発売された7インチの曲たちに、当時の「先端」感はあまりないです。サンプリングもなく、エッジの効いた音作りもなく、リリース時点で「エマーソン北村」に期待されたと思われるサウンドよりは、ずいぶんパーソナルで、ざっくり言って「地味な」印象だったのではないかと思います。もちろん当時から、こういうサウンドを「ローファイ」な「質感」として特徴づける言い方もありましたが、それを狙って作っているのでないことは聴いていただければわかると思います。

当時の「先端」を目指して作られた曲たちだったら、今回 COVERS 2003 としてリリースされるにあたってもっと「古さ」を感じたかもしれないんですが、この数ヶ月リリースのために繰り返し音源を聴いていても、二十年前ではなくて数ヶ月前の録音と錯覚してしまう瞬間があるくらい、その辺はあやふやです。それを「オールタイム楽しめる良い音楽」と感じるか「時代感のない、つまらない音楽」と評価するかは聴く人それぞれで良いと思うのですが、なぜ僕の作るトラックはそうなるのか、自分なりに考えてみました。

今回の音源に限ったことでないのですが、僕の作る音楽には、常に「新しい・外からの音楽要素」と「自分自身の内にあるもの」との間の距離感というか、距離を測りたくて測れないような違和感が、常にあると思います。もっと簡単に言うと、「こういう風にやりたい!」と思う気持ちと「自分はなぜこうやりたいのか」という引っかかりとが常にせめぎ合ってしまう、ということです。

それにはいろんな理由があって、また機会があればもっと考えてみたいですが……(続く)

2023.09.14 Thu

COVERS 2003 について(1)2003年について

2023年10月11日(水)にリリースされる 僕の COVERS 2003 について、リリース日までの間、思いついたことを書いていこうと思います。試聴や購入の参考にしたり、聴いてからこれを読んでさらに楽しんでいただけたら。

まず、今回のカヴァー集を作った2003年ころ、僕は何をしていたかです。この時まだ「エマソロ」という言葉はありませんでした。これ以前にもエマーソン北村名義の一人録音音源はいくつかあるのですが、自分で曲を書き、制作からライブまでひとつの意思をもって進めるという意味での「ソロ活動」は、この時点では行っていませんでした。
「ミュージシャン」としてのエマーソン北村にはふたつの活動があって、ひとつは「エマソロ」やコラボ、つまり曲作りからリリースまで関わって進めるいわゆるアーティスト活動。それから、他の方の曲にキーボードで参加したりアレンジやプロデュースをする、通常の意味でのミュージシャンとしての活動。僕にとっては、割く時間のバランスはその時によっていろいろでも、このふたつはどちらがメインということなく、あくまで両方で「エマーソン北村」の活動をなしていると思っています。

COVERS 2003に収録された音源を作った2002~2003年頃は、今と比べれば他の方とセッションをする時間の方が圧倒的に多く、自分で曲を作るということもあまりなかったのですが、たまたま2002年に、後のエマソロにつながるような音楽の作り方と、他のアーティストの活動とが交差するようなできごとがありました。そのひとつは EGO-WRAPPIN’ のアルバム「Night Food」に、エゴのお二人と僕だけで演奏した「5月のクローバー」が収録されたこと。それから、UKのアーティストHERBERTのリミックスEPに(僕の場合はリミックスではなく再構築というか、要するにカヴァーですが)参加したことです。これらのトラックで僕は、今回のCOVERS 2003と同様、足鍵盤付きのオルガンとTR-808とで「一発録り」を行っています(そもそもなぜこのスタイルなのかということも、おいおい書きたいです)。

そんな流れが背景としてあって、翌2003年に「ソロ」の7インチを作ろうというお話が浮上してきました。次回はその、今回の収録トラックのオリジナルリリースである7インチについてです。

HERBERT “addiction” EP のステッカー。自分用の書き込みあり。

2023.08.01 Tue

リリースのお知らせ: COVERS 2003 を 10月11日に発売します

2023.01.16 Mon

2023年のはじまり、ライブ予定や参加作情報、ソロ情報を更新しました。

2022.08.17 Wed

POPEYE web にミニコラムを書かせていただきました。

POPEYE web の TOWN TALK というコーナーで、週一回・4週間に渡ってミニコラムを書かせていただいています。最初のコラムは8/17(水)にアップされました。
コラムのタイトルは「遠くの『現場』、近くのテープレコーダー」というもので、僕にとっての「現場」がさまざまに揺れ動く中、これまでにあったことを思い出したり、今時分が気になっていることを書いてゆくつもりです。

https://popeyemagazine.jp/
第1回はこちらです。
https://popeyemagazine.jp/post-125719/

2022.07.14 Thu

webちくま に原稿を書かせていただきました。

筑摩書房の読み物サイト「webちくま」で、「昨日、なに読んだ?」というコラムに文章を書かせていただきました。毎回さまざまな分野の方が自分の読んだ本を紹介するコーナーです。読者として長年楽しんでいる出版社のサイトに自分の文章が載るのは、とても嬉しく光栄です。

「レコーディングでいっぱいいっぱいの日々に開く本」というテーマにしたのですが、「音楽作りの合間にリフレッシュ」するための本ではなく、かといって今作っている音楽に直接参考となる本でもなく、なんだか「もやもや」とした頭の中のつながりに沿って浮かんでくる本を挙げました。それはやはり、音楽作りの「もやもや」とリンクしたものでもあるし、書いてみると、挙げた本とその順番自体も、「もやもや」としたひとつの繋がりになっていました。

ミュージシャンの挙げる本のイメージとはかけ離れたものばかりでしょうが笑、他の方の回で挙げられている本も興味のあるものばかりなので、ぜひ一度ご覧ください。

https://www.webchikuma.jp/

https://www.webchikuma.jp/articles/-/2838

2022.06.17 Fri

エマソロの新曲「船窓 / おろかな指」をリリースしました

2022.02.26 Sat

エマーソン北村文章サイトをオープンしました

エマーソン北村文章サイトをオープンしました。こちらのColumn欄では読むのが大変になってしまう、分量のある文章などを置いてゆくつもりです。まずは「COVID-19闘病日記」をアップしました。

コロナ禍によってライブが減っているためにこのホームページの性格も変化していますが、メインである音楽活動の情報や記録は引き続きこのサイトで更新していきますので、よろしくお願いします。

エマーソン北村文章サイト
https://texts.emersonkitamura.com/

あわせてこちらもどうぞ。
bubblingnotes web shop エマーソン北村の個人レーベル、bubblingnotesのBASEです。
https://emkitamura.thebase.in/
エマーソン北村 bandcamp
https://emersonkitamura.bandcamp.com/
mmm with エマーソン北村 bandcamp
https://emersonkitamura-mmm.bandcamp.com/

2022.02.25 Fri

映画Charlotteに音楽を提供しました(2021年のニュース)

昨年8月、僕がCOVID-19で入院していた時のニュースなので改めてアップします。
USのインディー映画Charlotte (zach dorn監督) に音楽を提供しました。短編のストップモーションアニメですが、内容はとても現代的です。1970年代にフォークシンガーだった祖母の曲がたまたま現代にカヴァーされヒットしたことをきっかけとして、不在の父親へのテープレターを作り続ける孫と、音楽が嫌いだったその母、三世代に渡るそれぞれの記憶と関係に微妙な変化が生まれます。
映画では音楽が重要な役割を果たしていますが、北村が制作したのはそれではなく、いわゆる劇中音楽です。また下のトレイラーでは、僕の音楽が全面的にフィーチャーされています。
2021年に制作され、秋のトロント国際映画祭でプレミア上映として公開されました。日本では今のところ、同年の新千歳空港国際アニメーション映画祭で一度上映されただけなので、今後良い形で公開されることを望んでいます(配給ご希望の方は僕に連絡ください)!

2022.02.10 Thu

Fairbrother “남편 Husband Version” がリリースされました