僕の参加の記録をすこし。この2月に、僕がやっている「世に棲む音楽」というトーク・ワークショップのイベントに音くんをゲストとして迎えたのですが、その時、アルバムに参加して欲しいという話をいただきました。 楽器はオルガンということで、デモをもらって、自分で把握してから、ウチでプリプロというか、方向性決め。僕は最初にデモを聴いた時、オルガンは1940~50年代のスウィングする演奏をイメージしたのですが、音くんにははっきりとヴィジョンがあって「もっとオルガンらしい」ブルーノート的な方向でも構わない、という話でした。オルガンという楽器は鍵盤が二段あって主に下鍵盤でコード・上鍵盤でメロディ等を弾くのですが結果「ツービート」においては、下鍵盤がスウィングする Bill Doggett・上鍵盤が Baby Face Willette のようなヴィブラートの少ないソウルフルな音、というミックスされた方向性になりました。こうやってプリプロをするのは大事ですね。
シャッポの2枚めのアルバム『Commonplace』に、オルガンで参加しました!しかも一曲目のほぼ冒頭から。光栄です。
シャッポは良いバンド(ふたり組とはいえバンド感があふれているので)だと思って昨年の1stアルバムから聴いていましたが、今回のアルバムは特に良かったので、自分の参加記録も含めて少し書いておきます。
今回のアルバムはヴォーカル曲が多いのが特徴ですが、「歌もの」にしようと計画したというよりも、シャッポが「今できること・今でなければできないこと」を追求した結果こうなったのでは、と思いました。今のシャッポと参加メンバーの力量なら、あらゆる時代感とグルーヴ、そしてカラーを持った曲を作り出せるのはある意味「普通」だと思うんですが、アルバムというのは力量だけでなく、これからの何かに繋がってほしいと思って作るものなので、「歌もの」中心の背景にある、この先の音楽シーンやバンドに対する期待や意思が感じられることは、このアルバム一番のポイントだと思います。歌う福原音くんの声が普段の話し声に近いのが良くて、そのことがインスト曲とヴォーカル曲の距離を近くしていると思いました。
細野悠太くんの、ベースの音がいいんです。僕が参加した曲で感じたことですが、録りの時には他要素と一緒になっていたベースの「ノリ」が、ミックス・マスタリングという段階を経るたびに、さらによく伝わるようになってくるのです。曲ごとに音色が違っているのにどれも悠太くんのベースという感じがする。なかなかない素晴らしさだと思います。
あと特筆すべきは参加メンバーの演奏の良さですね。各曲のドラムス、ペダルスティールをはじめとして、それぞれのミュージシャンが良いところを出し、引き出されているなと感じました。
各曲の印象としては、「やってくる!」があって、からの「commonplace」そして「どうも」という流れが、僕的には山場でした。「Dad Rock」のような、ぱっと聴きすっきりした曲に、特に言葉の挑戦が織り込まれているような気がします。
僕の参加の記録をすこし。この2月に、僕がやっている「世に棲む音楽」というトーク・ワークショップのイベントに音くんをゲストとして迎えたのですが、その時、アルバムに参加して欲しいという話をいただきました。
楽器はオルガンということで、デモをもらって、自分で把握してから、ウチでプリプロというか、方向性決め。僕は最初にデモを聴いた時、オルガンは1940~50年代のスウィングする演奏をイメージしたのですが、音くんにははっきりとヴィジョンがあって「もっとオルガンらしい」ブルーノート的な方向でも構わない、という話でした。オルガンという楽器は鍵盤が二段あって主に下鍵盤でコード・上鍵盤でメロディ等を弾くのですが結果「ツービート」においては、下鍵盤がスウィングする Bill Doggett・上鍵盤が Baby Face Willette のようなヴィブラートの少ないソウルフルな音、というミックスされた方向性になりました。こうやってプリプロをするのは大事ですね。
そして……練習をしました。当たり前っちゃ当たり前ですが、最近の僕は本番前の練習の分量が「ちょうど良くなる」ように、押さえるところは押さえ、それ以上は練習をしすぎないように……などとコントロールすることも多いのですが、この曲にはそんな余裕がありませんでした。曲の各セクションそれぞれの音楽性はわかるのですが、一曲の中でめまぐるしく展開する時間の流れ方が、演奏者としての僕は体験したことのないものだったので、それについてゆくためには練習しかないと。そんな展開を理解し表現している二人とメンバーの素晴らしいベーシック演奏に支えられて、ダビング作業ができました。完成ヴァージョンではエディットを施していますが、基本的には一気に演奏したテイクが基になっています。音色がいろいろなのでそう聴こえないかもしれませんが、オルガンには鍵盤がふたつある上に瞬時に音を変えられる装置もあるのです。
録音は、関係者全員がひとつのスタジオブースに入って、レズリーという、スピーカが回転するオルガン用のアンプを鳴らして録りました。悠太くんがレズリーの前にほい、っとマイクを立てたら既にいい音で、何の微調整も必要なくそのまま録りました。こういうところなんですよねえ。そしてマイクを立てる録音ってやはりいいですね。
「ツービート」冒頭の、オルガンによるノイズっぽい不協和音は僕が思いついて試したものですが、後から考えたら Earl Grant の記憶があったんでしょうね。やはり1940~50年代の素晴らしいオルガン奏者です。音色は不協和ですが弾いているコード自体は音くんのギターと全く同じです。
最後に、Commonplace って、良いアルバムタイトルですね。松永良平さん編集のアルバムパンフにもいろんな方がこの言葉にコメントを寄せているそうなので、楽しみです。ちなみに僕が送ったコメントはこんなもの。
与えられるのでも、奪うのでもなく、毎日歩いていて必ず立ち止まってしまうような場所。自信持って選びとる普通。今回のアルバムでいうと、音くんの歌う声。
2026年6月3日 デジタルリリース
2026年7月8日 CDリリース