こんばんは。秋らしくなってきましたね。
この全曲コメンタリーもかなりの所まで来た。このコラムはマニアック解禁にしているので読みづらい方には申し訳ないと思っているが、「読んでます」と感想を下さる方もいて、力づけられる。ありがとうございます。
普段は「自分はオルガンプレイヤーすから」とピアノにはあまり興味ないふりをしているが、実は、ピアノ、すごく好きだ。人から習ったことがないことでどことなく引け目を感じているが、高校生のころはピアノのあるところに行って個人練していたこともある。
その頃どんなのが好きだったかと言うと、モンクは別格として、ダラー・ブランド(アブドゥーラ・イブラヒム)の African Piano。練習したな。実はいわゆるワールド・ミュージックへの接近ルートとして、パンク→レゲエという道のりの他に、このような(オルタナティブな)ジャズ→各国音楽、というルートも、自分にはある。むしろこっちの方が自分にとっては古く、より自分自身に近かったりする。
でも、「夜中」のような曲の方が、スリーコード・定型小節数のロックよりも、曲にかかってくる重層性という点では、簡単だとも言える。いろんな人がいろんなトライを重ねてきたポップやロックにそのフォーマットでもう一曲足すことの方が、フォーマットから「自由」になった曲を作るよりも、闘わなければならない相手の蓄積は余程大きく、むづかしい。
それでもね、出ちゃうんだこういう曲が。モンクの「Crepuscule with Nellie」には遠く及ばないが、そういうボローンとした、暖かくかつ空虚、みたいなものは、どうしても基本にある。そして僕の場合は、ピアノにローランドの System 100(Mじゃない) を足したくなる。この二つこそ、僕にとっては「最高のテクノ楽器」だからだ。あ、KORG のアナログディレイも。
曲後半の部分は、何度も試しているリフの、一断片。「遠近(おちこち)に」初回特典の「エマソロ・ライブサンプラー」に収録されているパリのカフェでのインプロも、その一つのバリエーション。今回アルバムではインプロを収録するという発想を捨てたため譜面で書ける内容になっているが、ライブにはこれとは別のオチの付け方があるはずと、思っている。